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暗く長いトンネルを走る列車。

悲しみを抱えた男は朱の花を差し出す少女と出会い、短い旅へと向かう。

言葉ではないもの、言葉にはできないもの。

些細なこと。些細なもの。

その短い旅の終わりに男は長く暗いトンネルを抜ける。

​朱の路

Scarlet road
13min11sec 2002

男の子と女の子が短い秋に過ごした思い出。

大人になったいまでも、忘れない記憶と切ない痛み。男は少年だったころの路を辿る。

どこまでも真っ白な景色を駆けていくように。

​白の路

White road
14min35sec 2003

男は誰もいない町を漂う。漂いながらほうきで地面を掃く。掃くという行為が繰り返されることによって、男が放置したまま忘れようとしてきた場所へと向かう。

時がとまった、あのときのままの場所へ。

​藍の路

Indugo road
13min29sec 2006

日々はまるで測ったように規則正しく始まり過ぎてゆく。電話のベルだけが不規則な出来事のように入り込む。

雨は結局降らなかった。

電話はもう鳴らなくなった。

何かが終わり、何かが始まる。

​檸檬の路

Lemon's road
13min 2008 

「路」シリーズ作品

不在。

その不在感みたいなもの、迷走しているようなもの、

眠っているような感じのものの中にわれわれにとって大事な何かがある。

そういう絵なり物語にはある種の真理みたいなものがあるのではないかと感じる。

目に見えないものを引き出したい。ただし、人形がなにかをするというのでもない。

迷いや不在をどうしたら形にできるのか。もしくはできないのか。

夢の中の夢。ほとんど動かない。セリフがない、もしくは意味が聞き取れない。

それでも別の時間が確かにある。

私は自分に内在する本質的な生活感覚に応じて私の時間探求に従うようになり、

やがて有機的に生まれてくる感覚的時間は私の中に確かに内在するもので、

その感覚的時間は記憶と直結している。自分の中にある、瞑想的時空を繰り返し

試していく行為。

私はそこで初めて存在を確認し不在を体験する。

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